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『かべひとえ』はまさにその名のとおり、23人の美大生たちがひとえに「壁」をつくった作品である。
ただ何かを閉ざしたり遮断したりするような障害物としての「壁」ではなく、それがあることによって逆に見えないものへの想像力を刺激したり、その空間を変容させたり、あるいはそこにいる人びとの関係を適切に保ってくれるような装置としての「壁」。
数十トンの流木を組み上げた高さ3m長さ30m超の「壁」は、のどかな湖畔の風景の中で圧倒的に異様な存在感を放っている。しかし、ざわめくように絡み合う大量の流木は、それ自体が西和賀をつらぬく和賀川の営みの痕跡であり、山々と水と空を一望できる景観のなかで不思議な調和をも感じさせてくれる。ともあれ「壁」を前にしたとき、あるいは「壁」を背にしたとき、自分のなかで開かれていく何かを感じてほしい。むろん、この「壁」に実用性などない。「壁」は日差しや風雨にさらされながら、眼前に広がる山々やダム湖とともに、ただ静かに、そこにあった。
森の楽校‐小屋修理&ペイント 2014/8制作
PORTFORIO
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